丘

　【作り手がこっそり明かす　あの番組のＸＸな話】「ボクらの時代」　フジテレビ・松本彩夏プロデューサー
　人気番組はどのようにして生まれているのか。その裏側を、作り手の言葉から探っていく。第２回はフジテレビ系「ボクらの時代」の松本彩夏プロデューサー（３８）を直撃した。
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　司会は不在。３人の出演者が繰り広げる自然体のトークが白眉だ。人となりや、関係性が浮かび上がる。ただ、肝心のキャスティングが難関という。
　「年末と２７時間テレビで飛ぶ（放送休止）ぐらいなので、年間約５０本、休みなし。１回で３人なので年間１５０人をキャスティングする勘定。出演者はタレントだけでなくスポーツ選手や文化人まで。中にはテレビに出たがらない方もいます。ストックもないので、ずっと綱渡り」と笑う。
　３人のバランスは番組の妙味だが、時にはうまくいかない場合も。
　「上下関係が圧倒的にあると、気を使ったり、ただリスペクトしたり。そうなるとトークは弾みません。そして、たとえ３０分番組でも、２時間はしっかりトークしてもらいます。それぐらい話さないと、たどりつけない話もあるんですよ」
　苦闘続きの番組作りだが、「その３人がその場で語らうからこそ出てくる話が聞けたときはうれしい」と目が輝く。
　最近はテレビ番組への視聴者の反響がネットに躍ることが多いが、あまり見ないという。
　「どこまで参考にしたらいいのか。ネットで好評だから、視聴率も高いとは限らない。ネットに細かな感想や意見を書く人は意外と少数派だと思うんです。人間なので肯定的な声だけ聞いて安心しちゃうかもしれない。悪い声を拾って傷つく必要もないけれど、好意的な意見だけであぐらをかくのも違うと思います」
　“ストッキングを履きたくなくて”飛び込んだテレビ業界。これだけは心掛けていることがあるという。
　「視聴者も出演者も、嫌な気持ちになったり傷ついたりしちゃいけない。基本的ですが、そこは守っています」
　■「ボクらの時代」（フジテレビ系、日曜午前７時）　２００７年４月スタート。芸能、スポーツ、文芸、政治など多彩なジャンルから３人の出演者を招くトーク番組。ＭＣはおらず、台本もない。そのため、トークは出演者３人にすべて任せる形で展開する。番組全体の進行は、ナレーションの小林聡美が務める。